●My Favorite Song By 中島みゆき
この前コンサートに行った「中島みゆき」ネタですが彼女の歌の中で一番の名曲は?と尋ねたらどの曲を答えますか?
私のFavorite Songは「おまえの家」です。この曲は1978年発売の「愛してくれと云ってくれ」の中に入っている曲で、これを知っている人はかなりのOLDみゆきファンだと思います。あまり特徴のない曲なのですが、聴けば聴くほど味のある詩だと思います。最初の雨の音が1970年代を醸し出します。私はこの詩は彼女の若い頃の実話だろうと思っています。思わず1970年代にタイムスリップです。
雨もあがったことだし おまえの家でも
ふっと たずねてみたくなった
けれどおまえの家は なんだかどこかが
しばらく見ないまに 変わったみたい
前にはとてもおまえが聞かなかった音楽が
投げつけるみたいに 鳴り続けていたし
何よりドアを開けるおまえがなんだかと
言いかけて おまえもねと言われそうで黙りこんだ
昔 飼っていた猫は黒猫じゃなかったね
髪型もそんなじゃなかったね
それはそれなりに多分 似合ってるんだろうけど
なんだか前のほうがといいかけて とめた
言いだせないことを聞きだせもせずに
二人とも黙って お湯の沸く青い火をみている
何を飲むかとぽつりおまえはたずねる
喫茶店に来てる気はないさ
ねえ昔よく聴いた あいつの新しいレコードがと
わざと明るくきりだしとき おまえの涙をみる
ギターは やめたんだ 食っていけないもんなと
それきり火を見ている
部屋の隅には 黒い皮靴がひとつ
くたびれてお先にと休んでる
お湯のやかんが わめきたてるのを ああと気がついて
おまえは笑ったような顔になる
なにげなくタンスにたてかけたギターを
あたしはふと見つめて 思わず 思わず目をそむける
あの頃のおまえのギターは いつでも
こんなに磨いてはなかったよね
あんまりゆっくりもしてはいられないんだ 今度また来るからと
おまえの目を見ずに言うと
そうか いつでも 来てくれよと
そのとき おまえは 昔の顔だった
コートの衿を立てて あたしは仕事場へ向かう
指先も衿元も冷たい
今夜はどんなメイジャーの歌を弾いても
しめっぽい音を ギターは出すだろう